微生物観察

今年も4年生の子ども達に池の中と腐葉土の中にいる微生物を顕微鏡を使って観察する授業をしました

小学校の「総合的な学習」の一環で、生態系の大切さを知って欲しいという目的で実施した授業です。

ほんとうはべつに微生物でなくてもいいのですが、残念なことに小学校のビオトープにはあまり大きな生き物がいません。この日は幸いトンボとモリアオガエルが見られましたが、4クラスともそういった目に見える大きさの生き物をみんなが見たり触ったりするほど数がいないので、苦肉の策でプランクトンや土壌生物の観察を一昨年から始めてみたのです。

それでも実際の観察ではまだ問題がありました。

4年生の子ども達はまだ顕微鏡の使い方を教わっていないのです。急遽担任の先生で倍率20倍の実態顕微鏡という簡単に操作できる野外観察OKの顕微鏡の使い方を教えてきてもらい、それでまず池の水をすくって見てもらいました。


その結果 「・・・なにもいないよ!」

子ども達の何人かは、そう言って諦めて顕微鏡から手を放し、あっけらかんとして私の顔を見ました。

私が顕微鏡を覗くと、ほとんど水だけが見えました。かすかに枯葉の粉も見えます。あっ動いているのも見える!だけどほとんど点みたいな小さい何かで、こんな倍率の低い顕微鏡じゃ観察できそうもない極小プランクトンのようです。

その横で、他の子が「せんせい!なにかいる!けどよう見えへん・・・」また私が顕微鏡を覗くと、ときどき視線を通過する生き物が見えるのですが、動きが早すぎて一瞬しか見えません。

比較的よく見えたのはミズムシっていう水性ワラジムシみたいなモゾモゾした虫でした。20倍の顕微鏡で小さく動きが早い池のプランクトンを見るのは子ども達には難しいようです。


次に落ち葉の下に住んでいる土壌生物を子ども達に観察してもらいました

腐葉土置き場の腐葉土をふるいにかけて、下にバットを敷いてその中に落ちた腐葉土の中から動く虫を小さな紙片ですくって、さきほどの20倍実体顕微鏡で見るという観察です。

子ども達の歓声は、プランクトン観察の3倍ぐらい跳ね上がりました。

わーきもい!とか、だめだめだめ!あたし無理だから!のように騒いでいるから気持ち悪くて触れない子続出かと思ったら、実際そうでもなくて、ヤスデやミミズを素手で持つ子が何人もいましたが、それを顕微鏡でズームインして見たらキモイ!と騒ぐのでした。とにかく小さいならヤスデでもムカデでも怖くないもたいです。

結局この実態顕微鏡での生物観察は、観察じゃなくて、顕微鏡を使って生き物を見る体験ぐらいにしかならなかったようです。でもまあいいでしょう。200倍の別の顕微鏡を室内に用意して、かつて生物学を専攻した地元に住む方がミジンコやボルボックスなどがタブレット端末に映し出されて観察できるようにセットしてあるから、観察はこれですればOKと、こういうことになっているからです。


子ども達にはタブレットに移っている生き物のスケッチをしてもらいました

美術の絵は影を塗ったり斜線で表しますが、生物学のスケッチでは鉛筆の先で点々、つまりドットでそれを描くと説明しました。が、子ども達にはなかなか理解が難しかったようです。しかたがないので机を回って「うすい影は、点 点 点。濃い色の部分は点点点点点と鉛筆でやってね」って教えて何とかなりました。

10分ほどで出来上がったスケッチの上手さは、まちまちでした。


その中で「私は将来生物学者になりたいの!」と熱く夢を語り始めた子が1人いました

というか、そのような子がいた話を授業が終わった後で聞きました。私はそういう子がこの総合的な学習の機会を使って出現してくることを強く期待しています。学者の他にも何か「いいこと考えた!」でもいいから、総合学習発の動機が育って欲しいなぁ、と思います。

またこの先、別の動機が出てくることを期待して授業を続けて行きたいと思います。

ボルボクス

2018年4月に本格始動。 京都市西京区桂坂の有志メンバーで 「子どもの自然のふれあい」 「地域交流」 をテーマに活動中。

0コメント

  • 1000 / 1000